映画「ハドソン川の奇跡」は実話がもとになっているという話はご存じの方も多いはず。
「でも全部が実話じゃないでしょ」
「映画と実話で違う部分はどこ?」
「主人公のその後が気になる!」
今回は映画「ハドソン川の奇跡」が実話とどこが違うのか、主人公である機長の現在を調べてみました!
さらに「ハドソン川の奇跡」で事故の要因となったバードストライクについても解説いたします。
映画「ハドソン川の奇跡」は実話と違う?
2016年に公開された「ハドソン川の奇跡」は、アメリカ・ニューヨーク市で実際に起きた航空事故をもとに作られています。
監督クリント・イーストウッド、主演トム・ハンクスという最高のタッグで完成したこの映画は、多くの人の胸を熱くさせ感動を呼びました。
そんな感動的な映画なのに実話と違う点があるのか・・・あるんです!
あらすじから順を追って映画との相違点を説明いたします。
①あらすじ
ニューヨーク州ラガーディア空港を出発したUSエアウェイズ1549便は離陸のわずか95秒後に異変が起きます。
両方のエンジンに鳥を吸いこんでしまう『バードストライク』が発生し、高度約900mという低い位置でエンジンの動力を失ってしまいました。
機長のサリー(トム・ハンクス)は管制官と連絡を取り、離陸した空港に引き返すか近くの空港に緊急着陸するかを提案されます。
この間もどんどん低くなっていく高度と再稼働できないエンジン。
乗員・乗客計155人の命を背負ったサリー機長は管制官の提案を断りハドソン川へ不時着水すると判断し、見事なコントロールで無事に飛行機を着水することに成功しました。
155人の命を救ったサリー機長は英雄と讃えられますが、国家安全運輸委員会の事故調査でほかの空港に着陸することが出来たのでは、と指摘されます。
このことで英雄から一転、155人の命を危険にさらした人物と非難されてしまいます。
サリー機長は「事故調査で使うシミュレーターは人為的な部分(状況把握や対応時間)が反映されていない」と反論。
その後新たなシミュレーターで調査をし直すと、サリー機長のハドソン川への着水がベストだったと証明されます。
このことでサリー機長は真の英雄として全米中から賞賛を送られました。
②映画と実話の相違点
相違点はサリー機長が155人の命を危険にさらしたと疑われるところです。
実際に事故調査委員会に当事者として出席したことはあるそうですが、それはサリー機長の判断を疑ってのことではなく、純粋に事故の当事者としての話を聞いただけです。
サリー機長は非難されることもなく、むしろ当時の大統領から感謝の電話をもらい、地元では記念式典が開かれるほどの英雄扱いだったそう。
155人の命を救ったサリー機長が一瞬でも非難されるのは悲しいので、そんな事実がなくて安心です。
機長の素早い判断と巧みな操縦技術が多くの命を救ったんだから、英雄扱いは当たり前ですね!
あらすじを読んだだけでも壮絶な状況の中で不時着水を決断したことが分かりますね。
これが映画で映像として観ると一気に引き込まれてドキドキしながら観れますよ。
さてこんな事故にあったあと、サリー機長がパイロットを続けたのか、それとも転職したのか気になりませんか?
そこでサリー機長のその後と現在までを調べてみました!
サリー機長の現在は?
無事にハドソン川に着水出来たとはいえ、その経験はトラウマになってしまいそうだとは思いませんか?
映画では心的外傷後ストレス障害で悪夢を見て苦しんでいる姿もありました。
サリー機長はこの事故をきっかけにどんな人生を歩んでいったのかをまとめました!
①サリー機長はパイロットとして復帰していた
2009年1月15日に「ハドソン川の奇跡」のもととなった航空事故が発生。
その後しばらくは『英雄』として称賛されたおかげで熱狂的なメディア報道などの対応をしていました。
そして航空事故からわずか9か月後の2009年10月1日、航空事故が起きた同じ路線で、事故当日と同じ副操縦士と共にパイロットとして復帰をしています!
同じ路線・同じ副操縦士ということで緊張もあっただろうと思いますが、復帰日のフライトは何事もなく無事に終えられたそうです。
1年も経たずに復帰してパイロットとしての仕事も問題なくこなす、さすが不時着水を成功させたサリー機長はものすごいメンタルの持ち主ですね!
②定年でパイロット引退
パイロットとして復帰したあとは通常通りの業務をこなすサリー機長。
定年を迎えたため2010年3月に約30年間のパイロット人生に幕を閉じました。
引退したあともパイロット時代の同僚や仲間とは交流を続けているそうです。
③現在はなにをしているのか
パイロット引退後は何の仕事しているのか気になりませんか?
サリー機長は現在、航空分野・宇宙分野で活躍をしているようです。
さらにリスクマネージメント・危機マネージメントや、航空・心理学についての本を出したりもしているそう。
航空事故を経験した方がやるリスクマネージメントは説得力がありそうで、サリー機長にしか出来ない仕事に感じますね!
サリー機長はパイロット時代も引退したあとも航空業界のために様々な仕事をしているんですね。
ところで事故の原因となった『バードストライク』はどの国、どの航空機でも起こりうる現象だそうです。
そんなに起こりやすいならどんな対策があるのか気になりませんか?
続いてはバードストライク対策について調べてみました!
バードストライク対策
『バードストライク』とは空を飛んでいる鳥が航空機に衝突する現象を言います。
衝突だけならまだマシで、そのままエンジンに吸い込まれてしまうと「ハドソン川の奇跡」と同じようにエンジンが動かなくなり墜落、という最悪の自体となってしまいます。
日本でも年1000件を超えるバードストライクが発生していますが、ほとんどは問題なく目的地へ到着しているそうです。
そんなバードストライクを起こさないためには様々な対策があります。
①バードストライク対策
一番多い対策は空港での目視による巡視です。
目視で鳥を確認したら散弾銃の空砲や花火の大きい音で追い払ったり、鳥が嫌いな音を流したりします。
ただ鳥も大きい音には慣れてしまい、だんだんと効果は落ちてくるそうです。
そこでさらに有効なのが猛禽類(ハヤブサなど)を飛ばす方法。
やはり鳥も生きているものは怖いので猛禽類が飛んでくることにはなかなか慣れないそう。
バードストライクの発生件数が一番多い羽田空港では専用レーダーを導入し、24時間体制で鳥の監視を行っています。
②どんな鳥が巻き込まれるのか
鳥といっても数えきれないくらいの種類がいますが、バードストライクに巻き込まれてしまう鳥は何が多いと思いますか?
- スズメ
- カモ
- トビ
- カモメ
・トビ
・カモメ
このあたりの鳥が多いようですが、このほかにも様々な衝突しています。
ですが航空機のエンジンは1.8kgのニワトリを巻き込んでも飛行を続けられるように設計されているので、実際にエンジン停止などの事故は少なく済んでいます。
まとめ
- ハドソン川の奇跡は実話と違う!サリー機長は実際には疑われていなかった!
- サリー機長のその後は?パイロット復帰後、定年で引退して現在も航空業界のために仕事をしている。
- バードストライク対策は目視やレーダー、空砲や猛禽類を飛ばして鳥を追い払っている。
いかがでしたでしょうか。
「ハドソン川の奇跡」は実話と違いはあるものの、実話の方がより暖かい気持ちになれるものでした。
サリー機長の素晴らしい操縦技術と判断能力があったから155人の命は救われ、映画化までされたんでしょうね。
最後までご覧いただきありがとうございました。